USBメモリ、という手があった
依頼者は上司だが、仕事とは関係ない相談。18GBあるデータを恩師に手渡ししたいのだという。恩師はパソコンに疎そうなおっさん。
32GBのSDカードを薦めたが、恩師の「SDカード」の理解に不安があるという。恩師は「SDカードくらいわかる」と言っているが、何か違うものをイメージしているのではないか、と。
話しているうちに「あ、そうだ、USBメモリって手があった」となった。というか相談されたら普通最初にそれ言うべきでした(汗)すみません。自分が滅多に使わないアイテムなもんで……。USBメモリなら恩師も間違えないかもしれない。一縷の期待をUSBメモリに託し、上司は一端去って行った。
額面と実際
後日、依頼人が再びやってきた。「32GBのUSBメモリを買ってきたのに動画が入らないんだよ」はて……どういうことでしょう。
「32GBって書いてあるけど、微妙に少ないんだよな」
あー、なるほど。たしかに32GBってのは「額面」で、実質は30GBを少し切ることが多い。管理ファイルとかなんかそういう関係であろうか。
「それにしたって、容量足りてるはずなんだけどさ」
む? そんなにビミョウでギリギリですか? 首をかしげながらも、自分の手持ちのメモリ類を提供しようと漁ってみた。メモリをやたら持っている私だが、貧乏人だから大容量メモリはあまりない。かといってUSBハードディスクでは大きすぎる。そのサイズに適しているとなると、64GBのmicroSDが一枚あるだけだ。
念のため、間違って要らないファイルが入っていないか……と中を覗いたが、空っぽの管理フォルダがあるくらい。不可視のファイルで容量を食っていたりすると面倒なので、さくっとフォーマットをかけることにしてexFAT(WindowsでもMacでも使える)を選びかけ……思い直してNTFS(Windowsでしか使えないが古めのPCでも大丈夫)にした。上司の恩師が使っているPCが古い可能性はある(Macの可能性はあんまりないだろう)。
解決編
microSDを握りしめて上司の席に行ってみると、現場(上司PC)には新しい32GBのUSBメモリがまだささっていた。何気なく中を覗いてみると、たしかに空っぽで空き容量は30GBを切っている。一方、問題の動画ファイルも見たが、こちらは27GB前後だ。んんん? よほどギリギリなら容量不足と判定されることがあるけれど、3GBも余裕があってまだコピーできないのは別の原因があるのでは?
ためしに27GBの動画ファイルをUSBメモリにドラッグ&ドロップしてみると、「~は大きすぎて」云々のエラーが表示される。これはもしや……とUSBメモリのプロパティから、フォーマット方式を見てみた。FAT32。ビンゴだ。
FAT32ファイルシステムはWindowsXP以前のパソコンで利用されていたシステムで、Windowsでも(今は)Macでも使える反面、4GBを超えるファイルを認識できない。容量不足ではなく管理上の限界で、当時は4GBなんてファイルはあり得なかったので想定外なのだ。エラーメッセージそのものは、容量不足と同じに見えてしまう。
USBメモリの中身が空っぽであることを確認して、フォーマットし直す。exFATを選びかけ……思い直してNTFSにした。上司の恩師が使っているPCが古い可能性はある(Macの可能性はあんまりないだろう)。
フォーマット完了後に動画ファイルをドラッグ&ドロップしてみると、無事コピーされた。解決解決。上司のパソコンが古すぎてNTFSに対応してなかったらまた別だが、SDカードとUSBを装備しているパソコンなら、さすがにNTFS非対応ってことはないだろう。あとMacとか。
というわけで、私のmicroSDカードは素のまま私の手元に戻って来たのであった。あーよかった。
[EOF]